高齢者からの希望で多い「家族葬」
80歳を超えるような高齢者になってくると、家族との会話の中で「こういう葬儀にしてもらいたい」というような気持ちを伝えることもよくあります。
特に希望がないという場合には一般葬として通常の手順で葬儀の段取りが組まれますが、ここ最近高齢者からの希望で増えているのが「家族葬」という小さな葬儀方法です。
「家族葬」とは家族や近い親類関係にある人だけに声をかけて行う規模の小さな葬儀方法のことです。
厳密に参列者が何人以上になれば一般葬で何人までなら家族葬といった定義があるわけではないのですが、一般的な基準としては20人くらいまで、多くても30人までで行うものを家族葬と言っているようです。
葬儀を取り扱うセレモニーホールなどでも、家族葬向けのプランとして全体的に小さめの会場を用意したりすることもあり、より親密な空気の中で静かに式をしていくことができます。
家族葬の希望が増えている背景としては、高齢者が子供や孫と別居をしていたり遠方で生活をしていることが多いといったことの他、ご近所付き合いといった地域のコミュニティの希薄化があります。
また高齢になるほど同年代の人が先に亡くなっており自分よりかなり若い人ばかりに参列を呼びかけることになるため、あまり大勢に声をかけるのは申し訳ないという気持ちがあるのかもしれません。
基本的な流れは一般葬と同じ
小規模に行う家族葬ですが、全体の流れは一般葬とだいたい同じです。
まず故人が病院などで亡くなった時に医師から死亡診断書を発行してもらい、依頼をする葬儀社を決めて自宅にまで搬送してもらいます。
そこで葬儀の規模について話し合いをして、家族葬にしたいということでまとまりましたら具体的にどの施設でどんなスケジュールをするかと決めていきます。
その後打ち合わせがまとまったら呼びかけをする親類や縁者の絞込をして、それぞれ電話や書面で訃報を通達していきます。
あとはスケジュールどおりに通夜と告別式を行い、最終的に火葬をして遺骨を自宅に持ち帰ります。
異なる点は参列する人数が少ないということと、式場の大きさが全体的に小さいということくらいですが、その分葬儀全体にかかる費用を低くおさえることもできます。
遠慮しすぎて声をかけないというのも問題
家族葬の一応の基準となっているのは20~30人前後なのですが、実際に声をかけるとなるとなかなかその人数で収まらないということもあります。
亡くなった人の居住地域や親戚づきあいの密度はそれぞれとは思いますが、子供が気を使って「ここから先の人はあまり普段から付き合いがないし、声をかけない方がよいかな」と思って人数を絞ってしまったために、それがのちの軋轢になってしまうこともあったりします。
現在はあまり付き合いのない人達であっても、生前一番よい時期に一緒に過ごしたという場合もあったりします。
ですのであまり絶対に何人までといった数字にこだわったやり方をしてしまっては、かえって故人の意志をそこねてしまうこともあるかもしれません。
かつては葬儀といえば縁の薄い人であっても付き合い上でざるを得ないということもありましたが、現在ではあまりそうした義理で参列をする人の範囲は狭く、呼びかけをした人が必ずしも参列をされるとは限りません。
迷ったらとりあえず呼びかけをしてみて、参列を強制しない形で連絡をするというのがよい方法と言えます。