祖霊舎でご先祖を祀る神道
仏教では故人やご先祖様を祀るために仏壇を使いますが、神道では仏壇のかわりに祖霊舎という祭壇に祀ります。
一般的な神棚とほとんど同じですが、中央に霊璽を置いて故人の霊を祀るのが神棚とは異なる点です。
霊璽は仏教でいう位牌に当たるもので、通夜のときに霊璽のなかにある木主と呼ばれる札に霊号(仏教の戒名に当たるもの)を書き、故人の魂を移したものです。
神具の置き方
神道では霊璽は祖先の魂が宿り、家や子孫を守ってくれる神様だと考えます。
ですから霊璽は神聖な神様として、祖霊舎の中央に飾りますが、このときに人目に触れないように内扉の奥に納めて扉を閉めます。
祖霊舎の扉は開けておきますが、霊璽を祀っている内扉は開けてはいけません。
内扉がない小型の祖霊舎の場合は、霊璽の前に戸張とよばれる幕を掛けて目に触れないようにしましょう。
祖霊舎は霊璽を神様として祀るもので、霊璽を内扉の奥に納めたら、その前に神鏡を置きます。
神鏡の両脇には真榊を立てます。
真榊とは五色の絹でできた幟に榊が飾られたものです。
こちらからみて右側に鏡と曲玉、左側に剣の三種神器を祀ります。
下の段には榊を一対、両端に置き、そのすぐ内側にお酒を供える瓶子を一対置きます。
その内側には向かって右から塩を供える平瓦、米を供える平瓦、水を供える水玉を置きます。
その奥に神饌をのせて供える三宝を一対置きます。
そして、瓶子の前あたりに、蝋燭を立てるかがり火立てを一対置くのが一般的な配置です。
祖霊舎は、神棚より少し下の位置に置きましょう。
霊璽は父母や祖父母、曽祖父母と一人一人並べて祀るのが理想ですが、祖霊舎に多くの霊璽を並べるスペースがないことが多いですね。
このような場合は、ひとつの霊璽にそれぞれの御霊をまとめて祀る方法があります。
この場合の霊璽には1基に複数の板札が入るようになっており、それぞれの板札に霊号や没年月日を記して霊璽に納めます。
祖霊舎にお参りするときの作法
祖霊舎のお参りは、毎日神棚をお参りした後に行います。
榊は毎月1日と15日に取り替えます。
水や酒など榊以外の供えものは毎日取り替えましょう。
参り方は、神棚のお参りと同じです。
瓶子水玉の蓋をはずして拝礼し、柏手を打ち、さらに拝礼します。
二拝、二拍手、二拝など拝礼の作法は神社によって異なります。
祖霊舎は白木で作られており、とても清楚なものですが、汚れが目立ちやすいですね。
毎日のお手入れは、ハタキがけで十分です。
ぬれた布などで拭くと、却って汚れが染みつくので、注意しましょう。
最近は、お手入れがしやすいように白木にコーティング剤を塗装したものも販売されています。
コーティング剤で守られているのでカビや日に焼けるのを防げますし、ぬれた布でお掃除できるのでとても便利です。